視線の先には

私だって本当は、いつも見てたんだよ。
歌ってるとき、そのときも、君のことばかり想ってた。
"大事な人"って思わせて。私、君のことが前から・・・――――


「おはよ!ハヤト!」
「あ、Bis子ー、おはよー」
学校に行く途中に会った君は少し眠そうに答えた。
いつものヘルメットはそのまま。スケボーは横に持っていた。
「眠そうね、ハヤトってば」
「昨日ずっと起きてたら殆ど寝れなくてさぁ・・はぁあ」
眠そうに答える君に、私は微笑んで聞く。

あぁ、何かこの感じ、いいなぁ。

なんて、そんなことを思いながら。


「あ、Bis子、肩に虫ついてる!」
「え、きゃぁ!!やだやだっ!!」
暴れた私に、君は優しく肩をはらった。
「もう大丈夫だよ」
君はそう言って笑ってみせた。

その笑顔がたまらなく好きだったの。


わかってる、わかってる。

私がこんな感情を持っていても、君はいつも他の子を見ていたことくらい。


それでも君はいつも優しくて――――――



「Bis子、カラオケ行くけど放課後空いてるー?」
「え、もちろん!!空いてる空いてる!!」
「ツララとかも来るっていうからさ、じゃぁ、放課後ね」

君からその子の名前が出るだけでチクッとくる。
私の大事な人は、別の大事な人がいる。

考えるだけで、私のココロは痛むのよ。



「ツララー、一緒に歌おうよー」
「わ、ちょっと変なトコさわっちゃダメだってば!」
君はカラオケでもその子の傍にいて、私の気持ちなんて知りもしなくて。

きっと伝えれば楽になるのに、そんな勇気が無くて。


〜♪
「あ、これ、Bis子が入れた曲だろ?はい、マイク」
「あ・・ありがとう、ハヤト」
「いえいえー、ほら、始まるよ」
ニコッと君は言う。また笑ったその顔に、心が動くの。


ねぇ、私だけに、その笑顔振りまいてよ。
ねぇ、私のことも、もって見てよ。


「わ、Bis子!?」
「・・・・・・」
「何泣いてんだよ、Bis子・・!?」
マイクを持ったまま、私は自然と涙が出てきた。


もう、イヤだ。


逃げたい。



バンッと扉を思いきり閉めて部屋をでた私を、君は名前を呼びながら追いかける。
「Bis子!待ってよ、Bis子!!」

ガシッと腕をつかまれ、私はまだ涙が止まらずにいた。
息を切らしつつ、私は思わず言っちゃいけなかったことを言う。

「わ・・わ・・私・・・」
「うん?」

ぎゅっと手に力が入る。
涙目の顔のまま、私は言う。


「ハヤトのこと・・好きだよぉ・・」

溢れ出した気持ちは止まらない。
その場で泣きじゃくって、君を困らしてしまった。

「な、泣くなよ、Bis子ってば」


もうダメだ。

ここから消えてしまいたい。


フラれるのが目に見えてるのに。


泣き止まない私に、君は突然、無言のまま、私のおでこにキスをした。
「わ、な、何!?」
驚く私に、君は言った。
「俺もBis子のこと好きだよ」
「え・・?」
私はその返事に対して、声が出なくなった。



「・・でもね」

少し困り顔で君は言う。


・・あぁ、やっぱり、あの子を選ぶのね。



わかってる、わかってた。


君は優しい。だから好きだと言ってくれた。


私は精一杯の笑顔で言った。
「ありがとう、もう大丈夫だから。」

すると、君は私に言った。
「・・俺たち、ずっと仲良くやっていこうな・・?」

「もちろんだよ、ハヤト。ほら、戻らなきゃ、ね?」
「うん・・」
私は君の言葉に返す。

頑張れ、頑張れ、私。

笑顔を一生懸命に作って言った。


「本当に、ありがとう」


君は、うん、と言って、部屋に戻って行った。


君が部屋に戻る姿を眺める。

私はその場でしゃがみこむ。


泣くのは我慢した。

頑張ろうと決めた。


私、君が好き。
その気持ち、ずっと持ち続けるために――――――



そしてまた、1日が始まる。

失恋ものですね。悲恋。Bisハヤ好きなんです、ほんとは。
でも最近ハヤツラ熱が増えてきて・・!!
ハヤトとツララとBis子と同じ学校設定で書いてみました。
カラオケに行ったメンバーが気になるところですが!グリ子ちゃんはいるはず・・!
あとはとくに考えてないです、、、誰と行ってるのこの子ら・・
あぁ、もう、ポプ小説書くの楽しすぎ・・!!

2004/07/24