「むー・・少しくらい笑ってくれてもいいのにー・・」
「イヤよ、私は人の前では笑ったりしないの。」
「・・僕の前だけじゃない・・?」
「そうとも言うわね。」
なんて、そんな会話を僕らは繰り広げていた。
冬の寒い日のことだった。

幸せを見つけた日

「寒いねー・・」
「睦月は寒いの苦手だもんね、大丈夫?」
「うん!!スミレたんがずーっと横にいるから暖かいもん!!」
「・・バカ。」
そんなこと言いながら、スミレは睦月に自分のマフラーを巻いてあげた。
「わ、え、スミレちゃん!?」
「貸すだけだからね。」
スミレはそう言うと後ろを向いてしまった。
少しだけ赤くなってるのが見えた。


・・嬉しい。

睦月はマフラーを手に取り、微笑んだ。
「ありがとう、スミレちゃん!大好き!!」
寒い、寒い日の二人で歩いた昼の出来事だった。


その日は、いつもより本当に寒かった。

寒くて、寒くて。

だけど、スミレちゃんがいるから、大丈夫だよ。
僕は全然、暖かいよ。


「ねぇ、手!繋いでいい??」
「だめ。」
「えぇっ!!やだ!!繋ごうよ!!」
「だーめ。」
スミレはそうやって求める睦月を拒否しまくった。
だけれど、少し照れくさそうにスミレは言った。


「手、出しなさいよ。」
「えっ?」


ぐいっと睦月の手を引っ張ったスミレの手は、少しだけ暖かかった。
スミレは顔が物凄く真っ赤になっていた。
睦月はそんなスミレを見て、嬉しくて嬉しくて、にやけてしまった。

「だめって言ってたくせに、可愛いね、スミレちゃんは。」
「う、うるさいわね!だまってなさい!」

スミレはまだ照れたまま、それでもしっかり手を繋いでくれた。


幸せだなぁ、なんて思っちゃダメなのかな。
でも、僕は本当ニ幸せなんだよ。


「な、何よ。」
「ううん、何でもないよ。見てるだけ。えへへ。」
スミレのことをじっと見ていると、スミレは少しムッとした顔になっていた。
それでも顔は真っ赤で、照れているのがわかった。


「もー!!何よ、ずーーっとヘラヘラとー!!」
「えぇっ!?僕ヘラヘラしてないよ!?」
「してる!!」
「えーでも笑った方が楽しいよー・・?」
「イヤよ、笑うなんて。」
「むー・・少しくらい笑ってくれてもいいのにー・・」
睦月はちょっと複雑は気持ちでそう言った。

「イヤよ、私は人の前では笑ったりしないの。」

「・・僕の前だけじゃない・・?」


「そうとも言うわね。」

そうスミレが答えるのを聞くと、睦月は下を向いて泣きそうな顔になった。
するとスミレは呆れながらイキナリ、バッと睦月を抱き寄せた。


「ス、スミレちゃ・・!?」
「・・バカね、愛情表現っていうのがわからないの?」
ギュッと睦月を抱いてスミレは言う。

「睦月が可愛いからイジメたくなるんじゃない。」

「・・僕のこと、嫌いじゃない・・?」
涙ぐみながら、睦月は聞いた。



「嫌いなら、一緒にいないわよ。」


スミレは真っ赤になって言った。
睦月は凄く、凄く喜んだ。


嬉しい、嬉しい。


「スミレちゃん!!大好き!!」
睦月はそう言って、スミレをギューっと抱きしめた。


うん、これが本当の幸せなんだ。


「バカ!!調子で乗らないで!行くわよ!!」
「うん!!えへへー!!」

ガシッとくっついてきた睦月をスミレははがしながらそう言った。
それでもずっとずっと、手だけは繋いでくれた。



「マフラーもらっていい?」
「だめ。」


・・きっと、明日もこんな幸せが。

授業でショートショートの物語を提出ということで書きました。
前から日記絵でちまちま描いてたネコ耳フード娘なのですが、小説で登場です。
やっと名前も決まりましたかほちゃん(*´ω`)
最後漫画にしたらコマは横長くて後ろ姿で走り去るのを描きたいなぁとか超妄想。
書いてみたいって前から思ってたので、まとめられてよかったです。

2004/05/06