今夜、星が降ればいいのに。

僕は、そう願った。

うさぎ流星群

「ニャミちゃーん!こっちこっち!」
「ちょ、待ってよ、早いってば!」

僕達は今、特別な場所にいた。
見晴らしが良くて、遠くの方には大きくて凄い綺麗な湖が見えて。
特別という以外に何と呼ぼう?
大好きな人と一緒に此処にいる。
特別と言う二文字以外ないと思う。

「ほら、見えてきたよ!てっぺん!」
「や‥だ‥もう無理だってば‥」
「わ!ニャ、ニャミちゃん!?」
「タイマー早いんだってば!ぴょこぴょことー‥もうっ!」
彼女はプイッとそっぽをむいて座り込んでしまった。
当然、僕のことなんて見てくれなかった。

あの大きな木の見える丘のてっぺんまであと少し。
僕が焦って張り切りすぎて、彼女は怒ってしまった。

「ニャミちゃんー‥こっち向いてよー‥」
「もう知らないっ!」
相変わらず、彼女はそのままだった。

僕のせいだ。
僕が勝手に進んじゃって。







悩んでたら、いきなり頭に何かが触れた。
「あんたまで怖い顔しないでよ、タイマーらしくないってば」
彼女はそういうと、僕の手を握ってこう言った。
「てっぺん、行くんでしょ?連れてってよ、ほらっ」

彼女は笑って僕に言った。
「やっぱり、いつものニャミちゃんだ」
「な、何よ」
「ううん、大好きだなぁって思っただけだよ」
「ば、ばか‥」

僕は彼女の手を握り返して「行こう」と言った。
立ち上がって前に進んだ。

太陽が眩しくて、てっぺんが光って見えた。
僕と彼女をその光りが照らす。


「なんか、おとぎの国に行くみたいだね」
僕は口に出してそう言った。
「どうして?」
彼女は僕に尋ねた。
「だって、ニャミ姫様とタイマー王子の大冒険だもん」
「‥よくわかんないよそれ」
「あの光りの中に入ったら僕達はね、不思議な体験をするの」
「不思議な体験‥?」
「うん!まだ分からないけど、なんかワクワクする発見みたいな!」
「じゃあ‥何かがアタシ達を迎えてくれるのかな」
「きっとそうだよ!」
僕がそうやって力強く言うと、彼女は笑顔になって言った。

「楽しみだね」

その笑顔が太陽の光りと混ざって、凄く綺麗だった。




てっぺんまでもうほんの一握り。
僕達は進む。進む。





最後の一歩を、二人一緒に踏み出す。


「せーのっ」

ポンッと、足を着地させる。

「到着ー!」
僕達は両手をあげて叫んだ。



「ほら!あの辺からずっと来たんだよ!凄いねー!」
「さんざん振り回されたけどね」
「えぇっ!?そんな風に思ってたの!?」
僕は焦りつつ泣きそうになって尋ねた。
彼女はフフッと笑って「うそだよ」と言って頭をなでてくれた。
僕は自然と笑みを零した。






大きな木に背中をもたれながら僕は言った。
「今日、綺麗な星が見えたらいいね」
「見れるよ、こんなに天気いいんだもん」
今日は雲一つ見当たらない、快晴だった。

「ねえ、ニャミちゃん!」
「うん?」
「お星様が今度降ってきたら、ここで見ようね!」
「流れ星のこと‥?」
「ううん、もっといっぱい!りゅ‥ぐ‥?」
「流星群?」
「そう!それ!ここで見れたら凄い綺麗だと思うし!」
それに、ここは特別な場所だから。

「そうだねー‥」
彼女は考えながら、自分の口元に手を置いた。
僕は彼女を目を輝かせながら見ていた。
すると彼女は僕を見てクスッと笑ってから言った。
「‥約束ね」
そう言って、小指と小指で指切りをしてくれた。


嬉しかった。







暗い暗い夜になってきた。
太陽は隠れはじめて、少しずつ星が見えてきた。


「早く降らないかな、お星様!」
「今日はそうゆう情報は聞いてないからねー‥」
「でも!もしかしたら!ほら!異常なんとかとかで‥」




「あ‥あれ?」


「あ‥」







キラキラと、流れる星が見えてきた。
たくさんの流れ星が見えてきた‥―――







「りゅ‥りゅせーぐんだ!!」
「うそ‥なんで‥ほんとに‥?」

奇跡が起きたと思った。僕は凄く興奮した。
「お、お願いごとしなくちゃ!ほら!ニャミちゃん!」
「‥‥‥」
「あ!ずるい!ニャミちゃん早い!もうお願いしてる!」
「タイマーもお願いごと、するんでしょ?流れ星消えちゃうよ?」
「う、うん!」



僕は急いで両手を合わして必死に願いをこめた。





お星様お願い。

ずっとずぅっと。

ニャミちゃんと一緒にいれますように。。








「消えちゃったね、お星様‥」
「消えちゃったね‥」
僕達はほんの少しの間、ずっと願いをこめていた。
終わった今、少し切ない気分になった。


「ニャミちゃんは何てお願いしたの?」
「ひみつ。タイマーは?」
「僕もひみつ!へへっ」
「‥綺麗だったね、流れ星」
少し笑って、彼女は上を向いて言う。

「また‥」
「うん?」

彼女は僕の方を向きながら言った。

「また、一緒に見れたらいいね」

彼女はニコッと笑いながら僕に言ってくれた。


「うん!また一緒にここで見れたらいいな!」







そんな約束をして、僕達は特別な丘を下りた。






夜の道を二人。



手を繋ぎながら。。










お星様、ありがとう。

僕は、心の中で強く、強く言った。








また、星が流れる日。
彼女と一緒にこの場所で‥―――

タイニャミです。普段全然考えないんですけど珍しく書いてみたり。。
流星群は見たことないです(´・ω・`)見てみたいけどどうかしら。
ニュースとかで調べたりしないしいつ出るのかとかもさっぱりさん。
でもいつか綺麗なのが見たいです(*´∀`)ろまんちすと加月さん。
・・なんか微妙に会話が睦スミっぽくてどうしようと困り中。。
ニャミちゃんは照れつつもタイマーが好きなんだよ!とか主張!

2005/01/18